絶海の孤島と呼ばれる南大東島。この島には高校が無い。この島で生まれ、高校に入学する子供は皆15歳で旅立っていかなければならない宿命にある。島で暮らす一人の少女・優奈は、民謡グループのリーダーで、父親と二人暮らし。中学卒業まであと一年。サトウキビ農家の島人である父親。本島生まれで、優奈の姉が高校に行く時に、一緒に島を出た母親。幼子と共に島に戻っている姉・美奈。那覇で働く長男。この島に暮らす誰しもに振りかかる、家族が離ればなれに暮らさざるを得ない厳しい現実。めったに母親に逢えない寂しさ、父親を一人島に残して出て行くことへの不安、淡い恋心…みんなで一緒に暮らせたら、という言葉を飲み込んで、15歳の旅立ちのときが迫る。
吉田康弘