※本サイトはアフィリエイト広告を利用しています

「“おくられびと”になったときに思い返したい」本木雅弘が納棺師に『おくりびと』

先日のモントリオール世界映画祭でのグランプリ発表に加え、来年開催されるアカデミー賞外国語映画賞への日本出品作品の決定や釜山映画祭での上映など、世界各国で高い評価を得ている『おくりびと』。遺体を棺に収める納棺師という仕事を選んだ青年が、様々な死に向き合うことで生きることや愛の姿を感じていく姿を描いた本作が9月13日(土)に公開初日を迎えた。主演の本木雅弘を始め、広末涼子、余貴美子、吉行和子、滝田洋二郎監督、脚本の小山薫堂、音楽の久石譲が舞台挨拶を行った。

最新ニュース レポート
注目記事
『おくりびと』初日舞台挨拶にて(左から)小山薫堂、余貴美子、広末涼子、本木雅弘、吉行和子、滝田洋二郎監督、久石譲
『おくりびと』初日舞台挨拶にて(左から)小山薫堂、余貴美子、広末涼子、本木雅弘、吉行和子、滝田洋二郎監督、久石譲
  • 『おくりびと』初日舞台挨拶にて(左から)小山薫堂、余貴美子、広末涼子、本木雅弘、吉行和子、滝田洋二郎監督、久石譲
  • 『おくりびと』初日舞台挨拶にて 本木雅弘
  • 『おくりびと』初日舞台挨拶にて 広末涼子
先日のモントリオール世界映画祭でのグランプリ発表に加え、来年開催されるアカデミー賞外国語映画賞への日本出品作品の決定や釜山映画祭での上映など、世界各国で高い評価を得ている『おくりびと』。遺体を棺に収める納棺師という仕事を選んだ青年が、様々な死に向き合うことで生きることや愛の姿を感じていく姿を描いた本作が9月13日(土)に公開初日を迎えた。主演の本木雅弘を始め、広末涼子、余貴美子、吉行和子、滝田洋二郎監督、脚本の小山薫堂、音楽の久石譲が舞台挨拶を行った。

オーケストラをリストラされ、納棺師となる大悟を演じた本木さん。「公開前から良い風がたくさん吹いて、作品が勝手に一人歩きしているというような気分もあって、逆に不安なくらいです。おぼつかない人生を歩いていた青年が様々な人たちと神聖な場面に出会って、ほんの一歩成長するという地味な話ですが、家族のこと、夫婦の危機、そして親子の絆ということを改めて考えさせられるし、いろいろなものがうまく総合的に作用して一つの作品に出来上がりました。それをまとめた監督の力は大きなものだと思います」と、監督の手腕を讃えた。

その監督は、「朝から満員になる映画を撮ったことがないので(笑)、感動しております」と、満足そうな笑顔で挨拶した。「僕は納棺師という職業は知らなかったんですけど、実際に納棺協会の方のご協力で納棺の現場に立ち会わせていただきました。そのとき、そこに残されたみなさんが急に笑ったり泣いたりする、その多様な感情に圧倒され、それと同時に静けさと言いますか、静寂をぜひ映画にしたいと思いました。今回は素晴らしい俳優さんに恵まれて、僕の信頼するスタッフ、そして久石譲さんの素晴らしい音楽に寄せて、自分の想像を超える映画になったと思います」と壇上の俳優、スタッフに感謝の意を述べた。

余さんは大悟が勤める納棺師の会社の事務員を演じている。「俳優は人を感動させる仕事なんですけど、観終わったあとに自分も感動してしまいました。死の場面がいっぱいあるんですが、逆に命が喜んでいる、そんな気分になりました。たくさん賞をいただいたことによって、たくさんの方に観ていただけるのが嬉しいです。そういう映画に参加できたことを誇りに思ってます」と笑顔で語った。

大悟が幼い頃に通っていた銭湯のおばちゃんを演じた吉行さん。「私は“おくられびと”代表で参りました(笑)。リハーサルで、私が死んで寝ていたんです。撮影はまだ大分先なのにもかかわらず、本木さんがあまりにも上手に納棺なさるんですよ。それで、“これは私も真剣に死ななくてはいけないな”と覚悟して(笑)、この撮影に臨みました。そして出来上がったのを観て、本当に嬉しかったです。優しい映画で自分が死ぬところでもしっかり泣きました」と、本木さんとのエピソードを明かした。

広末さんは大悟の妻・美香役。「3連休の初日に、この映画に来てくださって、すごく嬉しいです。私もこの映画を通じて死や生きていくことの尊さ、その死を受け入れる姿勢だったりとか、そういう部分ですごく自分が変わったと思っています。私自身のことで言えば、この映画に出会えたおかげで、大好きだったおじいちゃんとの別れと、とても良い形で向かい合えたと思っています」と、自身の体験を踏まえて作品をアピールした。

脚本を担当したのは、放送作家として活躍している小山さん。「2005年の11月に山形に行き、生まれて初めて棺に入り蓋も閉めていただいた真っ暗な中で、これから始まるんだ、と思いました。どういう映画になるのか自分でも分からないまま、とにかく無我夢中で、どんよりとしたものではなくて、サラッとしたものにしたいなと思って書きました。それを滝田監督がさらに軽やかに、キレのある演出で、素晴らしい作品に仕上げていただきました。本当に感謝しています」と、作品に対する思い入れを語った。

音楽を担当した久石さんは、本作でチャレンジしたことがあったそう。「映画の中で、本木さんがチェロを弾くという話だったので、事前に曲を作らなきゃいけなかった。台本を読んでいろいろ考えたんですけど、本当に生と死が向かい合う時の優しさみたいなものを思って書きました。そこから発想を広げまして、映画の音楽は全部、チェロが12人でやってます。弦楽アンサンブルというのは普通、第一バイオリン、第二バイオリン、ヴィオラだ、チェロだって入ってくるんですけど、バイオリンとヴィオラを全部外して、チェロだけ12人。それにピアノと、若干の楽器を入れた。1曲だけなら良いんですけど、全編でチェロ12人並べるというのはいかがなものかと思って、監督にそのアイディアを話したところ、監督も『それは面白い』と大変勇気づけていただきました」。ぜひ、音楽にも注目してほしい。

最後に、「自分が“おくられびと”になる頃、老いた自分が『こんな仕事をやったな』と思い返したい。そのためには、多くの方に応援してほしいです」(本木さん)、「これは死をテーマにしていますが、生きるための映画だと思っております。僕自身もいつまでも“おくりびと”の側でいっぱい映画を撮りたい。みなさんにも元気になっていただいて、ずっと“おくりびと”の側でいていただければと思います」(監督)とメッセージを贈り、舞台挨拶は終了した。

『おくりびと』は丸の内プラゼールほか全国にて公開中。
《シネマカフェ編集部》

特集

【注目の記事】[PR]

関連記事

特集

page top