「頑張らない」状態でいられる信頼関係
――『汝、星のごとく』の撮影は17歳パートの《夏編》から始まりましたが、猛暑のなかで横浜さんの“汗待ち”が生じ、広瀬さんが笑っていらっしゃったと藤井監督から伺っています。
横浜:そうなんです。自分の汗が止まらなくなっちゃって(笑)。
広瀬:絶対、もうちょっといい話がありましたよね(笑)。

――確かに(笑)。でも、おふたりの仲の良さや、現場の空気が感じられるエピソードだと思います。櫂と暁海がホテルで再会するシーンの撮影時も、合間におふたりが談笑している姿が印象的でした。
広瀬:信頼している同士だからこそ、言葉は悪いかもしれませんが「頑張らない」状態でいられるんです。流星くんと藤井さん、撮影の今村圭佑さんの温度感もそうですが、皆がマイペースに過ごしながらも誰のペースも崩さず、やりたいことをちゃんとやりきっているのが藤井組に抱いた印象でした。それが素敵で、優しいなって。
――『流浪の月』では広瀬さんが李組の経験者、『汝、星のごとく』では横浜さんが藤井組の経験者という立場でした。それぞれに組の特徴を事前に伝えたりはされましたか?
横浜:李組のときは、聞いてなるほどと思うようなことをたくさん教えていただきました。何から何まで、一からすずちゃんに教えてもらった感覚です。

――『流浪の月』で広瀬さんにお話を伺った際に、李監督はお芝居を真横で見つめてくると仰っていましたね。
広瀬:はい。モニター越しなどではなく、カメラの後ろにいるよ、めちゃくちゃ視界の中に入ってくるよって(笑)。
横浜:また、リハーサルについても教えていただきました。自分の中にこれまであったホン読み(撮影前に行われる台本の読み合わせ)やリハーサルの感覚ではなく、がっつりやる形だからと。
広瀬:『汝、星のごとく』のときはラフな感じで「藤井さんはこういう人だよ」と教えてもらう形だったように思います。
横浜:そうですね。逆に藤井さんに僕が「すずちゃんはこんな人で、藤井組に絶対合うと思う」とお伝えしました。

――現場でちらりとお話を伺った際、横浜さんは広瀬さんの本番でのスイッチの切り替えの速さ、広瀬さんは横浜さんの役に対する献身ぶりをそれぞれ称賛されていましたね。
横浜:『流浪の月』の際にも感じていましたが、すずちゃんの爆発力と瞬発力には感動さえあります。いつも刺激をもらっていますし、すずちゃんが現場にいると本当に心強い。裏表がないから気持ちがいい方ですし、先ほどすずちゃんは「頑張らなくていい」と仰っていましたが変に気を遣わずにいられるのがとてもありがたいです。だからこそ芝居で全力でぶつかり合えるんです。遠慮し合っちゃう部分が全くないんです。
――広瀬さんは暁海を演じるうえで「櫂が変わっても、自分は変わらないようにする」をテーマに掲げていたと仰っていました。いまのお話はそこにも通じますね。
横浜:そうですね。絶対に変わらない存在でいてくれるので、安心して役を生きられました。
広瀬:きっとお芝居だけじゃないかと思いますが、現場で見る流星くんの姿はとにかく目の前の役を担って、全うすることに全てを傾けていました。それこそ変な遠慮なしに、役に没頭していらっしゃるんです。私はどうしても時折自分が出てきてしまって恥ずかしくなったりもしますし、何かがかみ合っていないときにバンッとお芝居がうまく出てこない状態もあります。でも流星くんは、とても上手に器用に、全力で役へと向かっていく。その純粋な真っ直ぐさは桁違いで、私にはとてもまぶしく見えます。本作では体重を落とされていますが、その努力の具合とかける期間の幅、ストイックさすべてを含めて、皆が簡単にできることではないと思います。全員がここまで役に全てを捧げられないし、とても素敵です。
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