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【シネマモード】今年のアカデミー賞を騒がせた、女王の“ドレス”とは?

先日のアカデミー賞授賞式、ご覧になりましたか? 注目されていた元夫婦対決の行方、初の女性オスカー監督の誕生、ラジー賞&アカデミー賞同時受賞者の誕生など、なかなか話題に富んだ結果となりました。ここ数年のアカデミー賞の中でも、かなり面白い賞レースだったのではないでしょうか。

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キャスリン・ビグロー監督 Richard Harbaugh -(C)A.M.P.A.S.
キャスリン・ビグロー監督 Richard Harbaugh -(C)A.M.P.A.S.
  • キャスリン・ビグロー監督 Richard Harbaugh -(C)A.M.P.A.S.
  • サンドラ・ブロック Rick Salyer -(C) A.M.P.A.S.
  • キャスリン・ビグロー監督 Matt Petit -(C)A.M.P.A.S.
  • ジェニファー・ロペス(右) Michael Yada -(C) A.M.P.A.S.
  • キャリー・マリガン Michael Yada -(C) A.M.P.A.S.
  • サラ・ジェシカ・パーカー&マシュー・ブロデリック  Richard Harbaugh / (C) A.M.P.A.S.
  • キャリー・マリガン Matt Petit / (C) A.M.P.A.S.
先日のアカデミー賞授賞式、ご覧になりましたか? 注目されていた元夫婦対決の行方、初の女性オスカー監督の誕生、ラジー賞&アカデミー賞同時受賞者の誕生など、なかなか話題に富んだ結果となりました。ここ数年のアカデミー賞の中でも、かなり面白い賞レースだったのではないでしょうか。

さて、賞レースの結果とともに、もうひとつの楽しみだったのが、セレブたちのファッション。昨年は、ミッキー・ロークに注目しましたが、今年の華はやっぱり女たち。ハリウッドがよりゴージャスだった時代の女たちを髣髴させる艶やかなデザインとカラフルなドレスが目立ち、レッドカーペットにはまるで宝石をちりばめたような煌びやかさがありました。でも、ジュエリーは例年より控えめ。ここで、現代的な洗練を表現していたということなのでしょう。

先日のコラムでは、アカデミーファッション予測を行いましたが、ペネロペは残念ながら外れ。ヘアはダウンスタイルではなく、アップスタイル。その代わり、ではありませんが、主演女優賞に輝いたサンドラ・ブロックが上品なダウンヘアに真っ赤な唇で、黄金時代の女優っぽさを感じさせてくれました。手前味噌ながら、キャリー・マリガンについては“当たり”と言えるかもしれません。前が少し短くなったドレスが、『麗しのサブリナ』で主人公が着ていたドレスにちょっと似ていたと思うのですが。

個人的に気に入っているのは、サンドラが着ていた植物モチーフのシルバーのドレスと、サラ・ジェシカ・パーカーが着ていたレモンイエローのドレス、ジェニファー・ロペスのピンクのドレス。J.Loのドレスは、ぴったり体にフィットしたタイトなベアトップドレスに、ウエストからたっぷりのフリルがトレーンのように添えられた何ともシルエットが美しいドレス。色といい、シルエットといい、自分に合うものを良く知っているなという印象です。それに関しては、ここで上げたほか2人の女優も同じですね。J.Loによると、ドレス選びのポイントは「着ていて気持ちのよいものでないとダメ。心地よく着られて、気持ちも高めてくれるものでないとね」。なるほど。似合うものを着ると、自信もみなぎって、気持ちもアガりますからね。さすが、女ヂカラも、女優ヂカラも、セレブヂカラも、存分に高まっていました。

さて、長いふりになりましたが、実はここからが本題。実はコラムを書く前に、編集担当のizumiちゃんに、「誰か一人をクローズアップしてくださいね!」と言われていたのに、ついつい。すみません。余計なことも書いちゃう性分なんです。(あ、これまた余計なことを!)

そうそう、本題…。

私が今年の授賞式で一番輝いていたなと感じたのは、やはりキャスリン・ビグローです。女優級のスタイルと美貌、その外見とのギャップが嬉しい硬派な作品作り。見事です。ファッションに注目すると、決して女優たちのように日サロで焼いたのではなく、ロケで焼けたであろうこんがりキツネ色の素肌に似合う、グレイッシュ・ブラウンという色選びがまずは大成功。光沢のあるシルク素材が、地味になりがちな色を華やかに引き立てていました。しかも、『ハート・ロッカー』というハードな作品を引っ提げての登場なのに、上半身にあしらわれていたのは何とハートのモチーフ! ビーズでいくつものハートシェイプが象られていました。なんて、大人カワイイのでしょう。「仕事はバリバリとハードにやるけど、キュートなモチーフは大好きなの」って感じでしょうか。日本にもたくさんいますよね、バリバリのキャリアだけど、手にしているのは可愛いキャラクターのついているボールペンだったり、キティちゃんが好きだったり、家にはぬいぐるみがたくさんあったり。女心を忘れないけど、仕事は男勝りという人が初の女性オスカー監督になったというあたりに、いまという時代を感じます。しかも、ヘアスタイル、アクセサリーで大仰に飾り立てるのではなく、内面からあふれ出るパワーや自信を、大粒ダイヤにも勝るアクセサリーにして、堂々たる佇まいでレッドカーペットや会場を闊歩。私は授賞前からあなたの頭上に、王冠が見えていましたよ。

ビグロー監督は、年相応(58歳)にシワもありますが、若々しく完璧と思われる容姿を持つ女優たちの間にいても、美しさにおいて全く引けをとっていませんでした。というか、個人的には、年輪を重ねた人間的なふくよかさ、滲み出る知性、慈愛溢れる母性に他の誰よりも魅了されました。外見もすこぶる素敵なのですが、それと同時に彼女が作品にこめた情熱や信念、そこから映し出される人間性のすべてが彼女の魅力と呼応して、あの日、輝きとして現われたよう。わかってはいたけれど、人の美しさは、着ている服だけの問題じゃないなと改めて感じる授賞式となりました。

つまり、今年のレッドカーペットで、最もうっとりさせられたのは、どのブランドのドレスでも、どのデザイナーのドレスでもなく、キャスリン・ビグローが纏っていた“自信とパワー”という名のドレスだったというわけです。



Rick Salyer © A.M.P.A.S.
Matt Petit © A.M.P.A.S.
Richard Harbaugh © A.M.P.A.S.
Michael Yada © A.M.P.A.S.
《牧口じゅん》

映画、だけではありません。 牧口じゅん

通信社勤務、映画祭事務局スタッフを経て、映画ライターに。映画専門サイト、女性誌男性誌などでコラムやインタビュー記事を執筆。旅、グルメなどカルチャー系取材多数。ドッグマッサージセラピストの資格を持ち、動物をこよなく愛する。趣味はクラシック音楽鑑賞。

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