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【TIFFレポート02】天国の峰岸徹にメッセージ 『その日のまえに』舞台挨拶

いつかは訪れる最期の日=「その日」を宣告された者とそれを見守る人々の姿を描いた、重松清の同名小説を名匠・大林宣彦が映像化した感動作『その日のまえに』。東京国際映画祭初日の10月18日(土)、本作が「ある視点」部門にて初上映された。大林監督の人柄あふれるMCに乗せて、南原清隆、今井雅之、勝野雅奈恵、原田夏希、窪塚俊介、山田辰夫、大谷燿司、小杉彩人、厚木拓郎、伊勢未知花の総勢11名による舞台挨拶が行われた。

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『その日のまえに』舞台挨拶(左より)厚木拓郎、勝野雅奈恵、窪塚俊介、大林宣彦監督、小杉彩人、南原清隆、大谷燿司、原田夏希、伊勢未知花、山田辰夫、今井雅之
『その日のまえに』舞台挨拶(左より)厚木拓郎、勝野雅奈恵、窪塚俊介、大林宣彦監督、小杉彩人、南原清隆、大谷燿司、原田夏希、伊勢未知花、山田辰夫、今井雅之
  • 『その日のまえに』舞台挨拶(左より)厚木拓郎、勝野雅奈恵、窪塚俊介、大林宣彦監督、小杉彩人、南原清隆、大谷燿司、原田夏希、伊勢未知花、山田辰夫、今井雅之
  • 『その日のまえに』 南原清隆
  • 『その日のまえに』 原田夏希 窪塚俊介
  • 『その日のまえに』 大林宣彦監督
いつかは訪れる最期の日=「その日」を宣告された者とそれを見守る人々の姿を描いた、重松清の同名小説を名匠・大林宣彦が映像化した感動作『その日のまえに』。東京国際映画祭初日の10月18日(土)、本作が「ある視点」部門にて初上映された。大林監督の人柄あふれるMCに乗せて、南原清隆、今井雅之、勝野雅奈恵、原田夏希、窪塚俊介、山田辰夫、大谷燿司、小杉彩人、厚木拓郎、伊勢未知花の総勢11名による舞台挨拶が行われた。

愛する妻の最期を看取る主人公・健大を演じた南原さんは、学生時代から大林監督のファンだそうで、「(相方の)内村とも同じ映画好きがきっかけで仲良くなって、2人で(監督の故郷で何作もの映画で舞台になっている)尾道に行ったりした」とのこと。監督によると、撮影時には、妻・とし子役の永作博美さんと本当の夫婦のように過ごしていたというが、残念ながら永作さんはこの日は欠席。息子役の大谷くんと小杉くんを前に「取り残された3人という感じでリアリティがありますね」とコメントし笑いを誘った。また、監督こだわりのラストシーンで、亡くなった妻が家に帰ってくるというシーンがあるが、南原さんは「まるで自分が鏡の向こうにいるようで、どっちが生きていてどっちが死んでるのか分からない感覚に陥った。別の世界にいるけど、つながっている。一生懸命、瑞々しく生きたいと思った」とふり返った。

この日急遽、金沢から駆けつけた石川役の今井さんは「大学生のときは映画館でいつも監督の映画を観ていたので、緊張しましたが、この映画に出られて本当に嬉しかったです」と出演の喜びを口にした。一方、とし子の父親役の山田さんは、大林監督作の常連ということもあり、「大林組は、当日すごい長い原稿を渡されるんです」と語り、子役たちに対して「ボクも大変だったな、よくがんばったな」とその苦労を労い、笑いを誘った。


本作でチェロの弾き語りも披露する宮澤とし子役の原田さんは、「生まれて初めてチェロに触りましたが、何とかやり遂げました」と満足の表情。健大の同僚・良太を演じた窪塚さんは、本作が3本目の大林作品出演となったが、「今回も現場でどのカットを撮っているのか分からない中で、監督だけが分かっていたようで…」とこぼすと、監督は「僕も分かってないよ」と一蹴。これを受けて、看護師役の勝野さんは「監督は魔法が使える人だとずっと思ってましたが、今日、それが本当だと確信しました」と感服。

大林監督の秘蔵っ子・厚木さんは、劇中では駅長君を好演。元気よく「しゅっぴゃ〜つ、進行!」と劇中の台詞を披露し、会場からの温かい拍手を浴びた。良太の恋人・美紗役の伊勢さんは大林監督となじみの深いかぐや姫の元・メンバー伊勢正三さんの娘ということで「父は劇場にこっそり観に行くそうです」と照れ気味に答えた。

南原さんが温かく見つめる息子役の大谷くんは「みなさんが本当に優しかったので、楽しくやらせていただきました」と大人びた口調で挨拶。小杉くんも本作が6本目の映画出演となるが、監督に「もうベテランだな」と言われると「いや、まだまだです」と謙遜した。

自らを“70歳の新人監督”と称する大林監督は、「名作を作るより、矛盾があってもおもしろくて不思議な映画を作りたいと思ったときに、“生と死”というテーマに結びついた」と感慨深げにコメント。そして、もう一人のキャスト、先日ガンのため亡くなった峰岸徹さんの名前を呼び上げた。峰岸さんは大林監督の作品に28本も出演。実は、本作の撮影終了後、峰岸さんが入院する直前に、監督は彼の家に行き、新たなカットを撮影したのだとか。「とんちゃんが亡くなったとき、パッと彼の声が聞こえたんです。『家族にも孝行したし、しっかり生きたからOKだよね? それじゃ』と明るい声であっちに逝ったんです」とうなずく監督。「現世にいなくても彼は永遠に、立派に映画の中に生きています」と語った。そして、峰岸さんの似顔絵の描かれたパネルにキャスト全員からの感謝のメッセージが書き込まれた。

最後に監督は、原作の重松さんの「なぜ僕たちは遺影に笑顔を選ぶのでしょう?」という言葉に触れ、「生きている人が死を悲しがるだけじゃダメです。生きてる人間と死んでる人間が手をつないで“生きることは素晴らしいね、十分に生きたご褒美に安らかな眠りをもらおうね”ということを伝えたい。どうかみなさんもこの生を誇れるように一生懸命生きてくださいね」とメッセージを贈った。

『その日のまえに』は11月1日(土)より角川シネマ新宿ほか全国にて公開。

第21回東京国際映画祭特集
http://www.cinemacafe.net/fes/tiff2008/
《シネマカフェ編集部》

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