通信社勤務、映画祭事務局スタッフを経て、映画ライターに。映画専門サイト、女性誌男性誌などでコラムやインタビュー記事を執筆。旅、グルメなどカルチャー系取材多数。ドッグマッサージセラピストの資格を持ち、動物をこよなく愛する。趣味はクラシック音楽鑑賞。
愛のカタチは十人十色とも言いますが、ミヒャエル・ハネケ待望の新作『愛、アムール』の愛は強烈でした。優しいながらも、気が付けば胸がじわじわ締め付けられているのです。
これまで、スピーチの際には、こんなハプニングがありました。第45回、マーロン・ブランドが『ゴッドファーザー』での主演男優賞受賞を拒否。アクションのひとつとして、ネイティブ・アメリカンの女性を代理人として会場に送り
映画といえば、再生メディアの王様。特にハリウッドでは、膨大な予算と時間を使い、さまざまなテクニックを駆使し、長時間の編集作業を経て、総合的な映像作品を作り上げています。
年が明けたと思ったら、いよいよ来週はバレンタイン・デーですね。愛する大切な人の顔を思い浮かべながら、このコラムをお読みの読者も多いのではないでしょうか。そう、2月は愛の季節…。
読者の皆様の中には、このお正月休みを海外で過ごされた方、新年を海外で迎えた方も多いことでしょう。言葉が通じなかったり、文化が違ったりと大変なこともあるけれど、海外旅行好きにとっては、そこがまさに驚きや刺激の根源。
新年がやってきました! 2013年もどうぞよろしくお願いいたします。仕事が始まるこの時期には、今年の抱負を考える方も多いことでしょう。かくいう私もその1人…
セレブの妊娠・出産ニュースって、なぜかけっこう続きますよね。セレブはいわば、ロールモデル。彼らの言動は、社会的な影響力を持って…
劇中に登場する衣裳といえば、時代を反映したり、キャラクターたちの性格、育ち、ライフスタイルや経済状況、そして心理、感情、心の変化までを映し出したりする、鏡とも言える存在です。つまり、どんな映画にとってもファッションとは、昔から切っても切り離せないもの。ですが、数ある作品の中でも、特にその重要性が極めて高いものがあります。ちょっと不思議なファンタジック・ラブストーリー『ルビー・スパークス』もその一つ。本作は、若くしてベストセラー作家になったものの、もう10年も第2段が書けずに悩んでいるカルヴィンと、彼が書いた小説のヒロインで、現実世界に飛び出してきたキュートなルビーとの恋物語。ストーリーが進むにつれて起こるカルヴィンの変化が、彼を取り巻く世界に加わっていく色によって表現されているのですが、その色の源が「服」なのです。
不思議なことに、私の周囲にはあまり“プレママ”(=妊婦、またはママ直前の女性)がいたことがありません。すでに子供が大きくなってから知り合ったママたちはいますが、妊娠時に知り合いだった知人や、出産経験がある親友は数えるほど。しかも、彼女たちのほとんどは、出産したのがそろって十数年前という具合。ですから、今、世の中のプレママ事情はどうなっているかなど知りもせず。そんな私が、現代のプレママたちの喜びや期待、不安や苦労、そして仲間へのライバル意識など、本音の本音を垣間見たのが映画『恋愛だけじゃダメかしら?』でした。
2006年、『リトル・ミス・サンシャイン』で世界中を魅了し、アカデミー賞を沸かせたジョナサン・デイトン&ヴァレリー・ファリスの夫婦監督コンビが、6年ぶりに待望の新作『ルビー・スパークス』を発表した。今回取り組んだのは、19歳で天才作家として華々しくデビューしながらも、その後10年間ベストセラーを書けずに悶々とし続けているカルヴィンと、彼が小説のヒロインとして描き始めたものの、なぜか現実世界に飛び出してきてしまったキュートなルビーとの、ちょと風変わりで、ちょっと切ない恋物語。始めは自分が変になってしまったのだと驚くカルヴィンだが、ほかの人にもルビーが見えることに気づく。やがて自分が小説を書き進めるたびに、ルビーを意のままに操れることを知ったことから、カルヴィンは何もコントロールせず2人の関係を自然にまかせるべきかどうかで葛藤するというストーリーだ。
マリー・アントワネットの映画、と聞くと「また?」と思う人がいることでしょう。これまであらゆる形で描かれてきた、あまりにも劇的な彼女の人生。オーストリアのマリア・テレジアを母に持ち、後にルイ16世となるフランス王太子と14歳で結婚。18歳で王妃に。フランス革命の原因は、彼女の浪費にあるとも言われ、革命により断頭台に立ったマリー・アントワネット。その数奇な運命は、幾度も映画化されました。
とにかくしゃべる。ウディ・アレンのファンたちにはお馴染みですが、彼のコメディは、登場人物があることないことよくしゃべるのです。「あることないこと」と言いましたが、不思議なのは、なぜか彼らの本音と建前が、怒涛の会話劇からにじみ出てきているところ。それが分かるからこそ、思わずくすっと笑ったり、にんまりしたりしてしまう。本音と建前が見えてくる人間たちは、滑稽なのに可愛らしく、やっかいなのに憎めないのです。
10月20日(土)、華やかに開幕した第25回東京国際映画祭(TIFF)。同日の昼過ぎから、東京・六本木ヒルズ横のけやき坂通りに敷かれたグリーンカーペットを、参加作品に関わるゲストたちが闊歩し、多くの観客の注目を集めました。
陽気な性格と人懐っこい笑顔。完璧なボディとそれを存分に生かす抜群のファッションセンス。キャメロン・ディアスは、女性たちの永遠のアイドルと言えるでしょう。『マスク』('95)でスクリーン・デビューを果たし、『メリーに首ったけ』('99)で注目を集めた彼女にとって、コメディは得意分野。以前、来日時にインタビューした際には、彼女が生粋のコメディエンヌであることをこの目と耳で確認済み。底抜けに明るい彼女らしさが存分に発揮されるジャンルはやっぱり、コメディなのだと、そのとき確信しました。
フロイトとユング、そして2人にとって“運命の女”とも言える存在の美女・ザビーナ。心理学界最大のスキャンダルと呼びたい秘密の三角関係については、前回のコラムでご紹介しましたが、作品を面白くしているのは、キャスティングの妙によるところも大いにあります。
ジークムント・フロイトとカール・グスタフ・ユング。心理学界における永遠の二大巨頭である彼らの名前は知っていても、2人のデリケートな関係性について詳しく知る人はそれほど多くはないかもしれません。『危険なメソッド』は、フロイトとユングの出会いから蜜月時代、そして決別までの軌跡をたどったヒューマンドラマ。2人の関係の変化には一人の女性の影があったことにまで踏み込んだ、ちょっとスキャンダラスな物語なので、心理学に興味のない方であっても、歴史の陰にあるミステリアスな“三角関係”にはきっと興味を持つことでしょう。
久々に、ぐっと来るラブストーリーに出会いました。この作品をラブストーリーと定義するかは人それぞれだと思いますが、『チキンとプラム あるバイオリン弾き、最後の夢』は私にとってまぎれもなく、切なくも美しい恋物語なのです。
人間とは、何と思い込みの強い生き物なのでしょう。そんなこと、散々分かっていたはずなのに、映画『アフタースクール』を観たときに、つくづくそう感じたことをいまでもはっきり覚えています。“思い込む生き物”の特性を手玉に取るかのように、見事に楽しく観客を騙してくれたのは、内田けんじ監督。彼の新作が完成したと知り、「騙される感動をもう一度…」とばかりに、『鍵泥棒のメソッド』を観てきました。今回もスカッと爽快感のある面白さが全編に充満。「あぁ、楽しかった」とつくづく感じる作品となっていました。
人を騙す生き物と言えば、昔からキツネとタヌキが有名ですが、彼らよりもよほど始末に負えない動物がいます。それはもちろん、人間。残酷なほど狡猾に、人の心を弄ぶ…。その極悪非道ぶりといったら、昔ばなしに登場するキツネやタヌキの比ではありません。手を変え品を変え、お年寄りを騙す振り込め詐欺、訪問販売詐欺なんて、ニュースでやり口を知るたびに、胸がムカムカ。人は、ここまで下品になれるものかと驚きすら生まれます。人間の想像力は素晴らしいものなのに、こんな風に悪用するなんて…と。
イランという国に、どんなイメージをお持ちでしょうか? イスラム文化の国で、女性たちには髪を覆う“ヒジャーブ”の着用が強制されていて、核開発問題でも話題を振りまいている…。そんなところが一般的でしょうか。いまはイランと言えば、イラン人の父をもつダルビッシュ有という方も多いと思いますが。
先日、EUROサッカーを観戦するため、そして大切な友人を訪れるため、ポーランドのワルシャワに行ってきました。東欧の街・ワルシャワに行ってきたと言うと、「暗い?」と聞かれることも多かったのですが、中心地は驚くほど近代的で大変な建設ラッシュ。ヨーロッパ有数のスポーツイベント開催中ということもあり、活気にあふれてもいました。多くのユーロ圏の都市が財政難で苦しんでいますが、ポーランドの通貨はユーロではなくズロチのまま。そのおかげもあり、経済は悪くないのだと友人は教えてくれました。
『エキゾチカ』『スウィート ヒアアフター』『死ぬまでにしたいこと』など、数々の秀作の中で、凛々しい存在感を見せていた演技派女優サラ・ポーリー。1999年に脚本・監督を自ら担当した短編映画を発表してからは、カナダのインディペンデント映画界を牽引する新進の映像作家としても注目を集めている。劇場用長編映画デビュー作にしてアカデミー賞脚色賞にノミネートされた『アウェイ・フロム・ハー 君を想う』に続く最新作となるのが、若い夫婦の関係性を描いた『テイク・ディス・ワルツ』。新作の日本公開を前に、作品について、映画作りについて、胸に秘めたサラの想いを聞いた。