カンヌの公式記者会見は生中継のテレビが入り、世界中に配信されるので、質問をするのはちょっと勇気がいるもの。でも、せっかく巨匠クリント・イーストウッドに話を聞けるチャンスなので、思い切って手をあげてみた。『Changeling(原題)』は今回のコンペ一番の話題作なので、当然質問する人も多く、ようやく何人目かで私の番に。いざ当てられると緊張する。それでも勇気を振りしぼってイーストウッド御大に「これまで父と子の関係を描いてきたあなたが、今回、母と子の関係に焦点を当てた理由を教えてください」と聞いてみた。すると「この脚本のもっとも心を打たれる部分だったし、親ならば子供を失うということが一番辛い。誰もが理解できる感情だと思う」といったお答え。この『Changeling』の公式記者会見が行われたのは20日。イーストウッドの誕生日が5月30日。ということで、思い切って「来週がお誕生日ですね。おめでとうございます」と言ったら、「もう少し若いままでいたいねえ」と苦笑い。また、他の記者から「『ダーティーハリー』を再びやることは?」と聞かれると、「サンフランシスコ警察に、こんな年の男の居場所はないよ」とまたまた笑わせた。ちなみに現在77歳のイーストウッド。78歳のバースデーに、パルムドール(最高賞)を持って帰れるかが楽しみだ。(text/photo:Ayako Ishizu)カンヌ国際映画祭特集http://www.cinemacafe.net/fes/cannes2008/