【TIFFレポート23】日本の事件が基になっている『アンナと過ごした4日間』

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『アンナと過ごした4日間』 イエジー・スコリモフスキ監督
  • 『アンナと過ごした4日間』 イエジー・スコリモフスキ監督
病院の火葬場で働く40歳の男性・レオンが、同じ病院で働く看護婦・アンナを見つめ続ける4日間をエキセントリックかつロマンティックに描いた『アンナと過ごした4日間』。監督はポーランドのイエジー・スコリモフスキ。彼の17年ぶりの監督作となった本作がコンペティション部門にノミネートされ、10月22日(水)にスコリモフスキ監督が記者会見に出席した。

本作は夜のシーンが多く、全体的に画面が暗い。この撮影について監督は「大きな挑戦だった」と語った。「暗いシーンが多いということは、TVでは映りにくいということです。これは私にとっては大変な英断でして、TV放映を諦めるということになるんです(笑)。ですが私はレオンの暗い心の内を表現することを選びました。彼の心象風景と合わせたんです」。その外見からは少々意外な、本気とも冗談ともつかない監督のコメントだが、監督のこのユーモアのセンスは映画にも表れている。本作の冒頭に斧と人間の手首が出てくるのだが、本編とは何の関係もないのだ。「アノー、観客を手練手管で操ることを常に意識したいと思っています(笑)」と、ティーチインのときに覚えたという日本語「あの…」を交えてユーモアたっぷりに話した。

昼間は通りから、夜は部屋の窓からと、レオンはアンナを密かに見張り続けるが、このコンセプトは日本で起こった事件から浮かんだストーリーだそう。「新聞の一行がこの話のきっかけとなったんです。私はかつてL.A.で暮らしていて、毎日『L.A.タイムズ』を読んでいたのですが、世界の珍事件というコーナーがあって、そこに書いてあったんです。その人の年齢も場所も書いてなかったし、どういう人なのかも書いてませんでしたが、『日本人の男性が夜中に女性の部屋に忍び込んで、何もせずにただ、数時間彼女を見つめていた』とあったんです。映画はこれを発展させていったんですが、すぐに映画にしたわけではなく、数年間温めていました。今回、17年ぶりに映画を作ることになって、この一行を思い出し、ストーリーを膨らませていったんです」。

そこで気になるのがレオンの行動の可否。彼の行動は理解できなくとも、孤独は理解出来るという意見もあるが…。「そこがまさに映画の主題なんです。レオンは社会的に許されるのか、世間は彼を、彼のモチベーションを許すのかが主題だと思います。彼の欲望は犯罪者的な行為に至っています。社会的にも倫理的にも法律的にも、問題があるとみなされてはいるが、それでも彼の情熱が理解されるのかがテーマでした。観客をミスリードするように、レオンを悪く思うようなイメージを羅列しました。最初の斧と手首もその一つです。そしてストーリーが進むに従って、彼のイメージをクリアなものにしたんです。そのときに観客が、『もしかして彼が悪そうだと思ったのは間違いだったのかしら?』と、彼に申し訳ないと思うのではないかと思ったんです」。果たして、日本の観客はレオンの行動をどう見るだろうか? ぜひとも日本で公開し、その結果を確かめてみたい。

第21回東京国際映画祭特集
http://www.cinemacafe.net/fes/tiff2008/
《text:cinemacafe.net》

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