失礼な言い方かもしれないが、いたずらっぽい笑みを浮かべながら嬉々として作品について語り続けるこの男には、“プロジェクトマネージャー”などというシャレた横文字の肩書きよりも、でっかいお祭りの“実行委員長”という言い方の方がしっくりくる。それとも、祭りの始まりを今か今かと待ちわびる子供と言うべきか…? 『はやぶさ 遥かなる帰還』の撮影が終わってすでに半年近くが経つというのに、渡辺謙はついさっきまで現場にいたかのような情熱をもって作品への思いを語り、語り、語り続ける。絶望的な状況の中でも決してあきらめることなく挑戦し続け、小惑星探査機・はやぶさの奇跡の帰還を実現させた研究者たちの姿から何を感じ、映画で何を伝えようとしたのか——?
己の身を削り、そこに火を灯すような——。高良健吾が演じるキャラクターからは常にそんな熱さ、鋭さ、生々しさが伝わってくる。『M』に『蛇にピアス』、『軽蔑』など、これまでの出演作には生への葛藤や孤独、人間の弱さを感じさせる作品が並ぶが、そんなフィルモグラフィーの中で明らかに他作品と異なる空気をまとい、全く違う高良さんの一面を見せてくれるのが沖田修一監督による作品だ。久々に田舎に帰省した大学生とでも言おうか…。そもそも演技以前に『南極料理人』('09)での“兄やん”という役名からして危機感も切迫感も全く感じさせない。前作からおよそ2年の時を経て、沖田監督と再び組んだ最新作『キツツキと雨』でも、同様の“ユルさ”は健在である。昨年は映画のみならず初舞台、NHKの朝の連続テレビ小説にも出演するなど、ますます活躍の場を広げる高良さんだが、ほかとは一線を画した沖田作品の空気感をどのように捉えているのか? そして沖田監督は何を求めて高良さんを起用したのか? いま、最も注目を集める高良健吾の魅力をあえてこの異色作から解き明かす!
「始まりが終わりであり、終わりが始まりである、ということ。この映画を通して、僕自身が“始まり”へ観客を誘いたかったんです」。初のオリジナル脚本で撮り上げた映画『人生はビギナーズ』について、マイク・ミルズ監督は語る。自身といまは亡き父親のパーソナルな関係を紡ぎ出すように打ち明け、優しく漂う愛の物語を完成させた彼が、本作に込めた想いとは——?
ニューヨークのマンハッタンにそびえたつ、最高級マンション“ザ・タワー”を舞台に、この最上階に居を構える大富豪vs彼に騙された使用人たちが繰り広げる、大逆転計画を描いた痛快コメディ『ペントハウス』。コメディファンにとってはたまらない、稀代のコメディアンが本作で遂に初共演を果たした。その2人とは、俳優のみならず監督・脚本などマルチな才能を発揮しているベン・スティラーと、90年代に一世を風靡し、不動の地位を築いたエディ・マーフィーである。絶妙な掛け合いを見せる2人に、本作について語ってもらった。
主演の林遣都、桐谷美玲を始め、小栗旬や山田孝之など豪華キャスト陣で贈る人気コミックスを実写化した『荒川アンダー ザ ブリッジ THE MOVIE』。本作でロックスター“星”役で強烈なインパクトを放つ山田さんが、星の格好そのままに、真剣な表情でその舞台裏を明かす貴重なインタビュー映像がこのほど到着した。
オリバー・ストーン監督作『プラトーン』('86)でその確固たる存在感を露にし、『スパイダーマン』シリーズの“グリーン・ゴブリン”役に代表されるような、観る者を戦慄させるヒールから、ラース・フォン・トリアー監督の『アンチクライスト』での衝撃的な役どころまで、数々のアクの強い役を演じてきた名優、ウィレム・デフォー。現在56歳、そんな彼が放つ重厚感のある魅力を存分に味わうことができる一作が『ハンター』だ。本作で、ウィレムは人との関わりを一切拒絶し、孤高の人生を歩む“ハンター”を、見事に体現している。
どこからどう見ても着ぐるみを着ているのに、「着ぐるみじゃない」と言い張るカッパ姿のリーダーに、お星様のマスクを被ったロック・ミュージシャン。さらには、毒舌で周囲を斬りつけながら酪農に精を出すドS美女に、ドS美女に愛を捧げるシスター姿の美男子などなど…。愛すべき奇天烈キャラクターたちが愛と感動の物語(?)を織り成す『荒川アンダー ザ ブリッジ THE MOVIE』で、主人公の“リク”と“ニノ”を演じた林遣都と桐谷美玲が体験した大切な時間とは? そして、作品に参加したことで発覚してしまった(!)恋愛観とは…?
ラーメン店チェーン「天下一品」の開店40周年を記念し、お笑いコンビ・スピードワゴンの小沢一敬が初めて映画脚本を手がけた異色の人間ドラマ『メンゲキ!』。本作で主演に抜擢された「劇団EXILE」の青柳翔の独占インタビュー動画がこのほど到着! 初主演を務める本作の見どころについてたっぷりと語ってもらった。
クリント・イーストウッドがレオナルド・ディカプリオを主演に迎え、半世紀にわたって“影の独裁者”としてアメリカを牛耳った初代FBI長官ジョン・エドガー・フーバーの実像に迫った『J・エドガー』。レオ&イーストウッド監督、さらにフーバーの部下のクライド・トルソンを演じたアーミー・ハマー、同じく部下のギャンディに扮したナオミ・ワッツ、脚本を手がけたダスティン・ランス・ブラックが顔を揃えての異色の座談会の模様をお届け! 後編となる今回は、劇中のキャラクターたちの強く結びついた、そして時にいびつにすら映る関係性をどのように捉え、演じたのかをレオたちが語り合い、さらにイーストウッド監督が自らの“現在”について語り明かす。
巨匠スティーヴン・スピルバーグ渾身の一作として贈る、馬の目線を通して愛と別れ、人間のドラマを知る感動作『戦火の馬』。昨日発表された本年度のアカデミー賞作品賞にも見事候補入りを果たした本作だが、この超大作でスピルバーグに見出され、華々しい映画デビューを飾ったのが、いま注目の新星ジェレミー・アーヴァイン。馬と一体となり、力強いメッセージを体現した彼が本作を通して感じたものとは? 作品の魅力と共に、本作の立役者である馬との共演について語ってくれた。
阿部寛の一番の“ハマり役”は? そう聞かれても正直、困ってしまう。『チーム・バチスタ』シリーズの破天荒な官僚・白鳥に「TRICK」シリーズの自称天才物理学者・上田。ドラマ「結婚できない男」で演じたあの偏屈な主人公を推す人もいるだろう。たったひとつでもハマり役と言える役を持っているだけでも大変なことなのだが…。東野圭吾の人気連作をドラマ化した「新参者」で演じた刑事・加賀恭一郎も間違いなくハマり役のひとつ。クールさと優しさを併せ持った加賀を体現し、多くの原作ファンをも納得させた。ひとつひとつの作品で外見を大きく変えているわけではない。失礼な言い方だが、いずれも見た目は“阿部寛”そのまま。それでも全く異なる人物を不思議な説得力でもって浮かび上がらせ、「この人物をもっと見ていたい」と思わせる。この何とも説明しがたい魅力はどこから来るのか? 「新参者」からスペシャルドラマ「赤い指」を経て、映画『麒麟の翼〜劇場版・新参者〜』で三たび加賀に扮した阿部さんが、加賀という男の魅力、この役を演じることで自らの中に芽生えたある思いを明かしてくれた。
高学歴で高収入、仕事一筋の30代キャリアウーマンと、そんな彼女を家で待ってくれる年下の“ペット”の彼。あり得ないようで、なぜかしっくりくる男女のスウィートな共同生活を描いた『きみはペット』。その“ご主人様とペット”を演じるのが、ラブコメの女王キム・ハヌルと、日本中の女性の心を射止めているチャン・グンソクだ。スクリーンの中からそのまま抜け出してきたかのようなふたりのスウィートな関係に直撃!
悲願のオスカー獲得に期待がかかるレオナルド・ディカプリオを始め、今年の賞レースの注目作のひとつ『J・エドガー』がまもなく公開となる。半世紀にわたってFBIに君臨し、“8人の大統領から恐れられた男”と言われるジョン・エドガー・フーバーの姿を描いた本作。フーバーを演じたレオ、その部下のクライド・トルソン役のアーミー・ハマー、同じく彼の下で半世紀にわたって働いたヘレン・ギャンディ役のナオミ・ワッツ、さらに『ミルク』でアカデミー賞を獲得し本作の脚本を手がけたダスティン・ランス・ブラック、そしてメガホンを握ったクリント・イーストウッドが一堂に会し、なんと座談会を実施! その模様を2回にわたってお届けする。