※本サイトはアフィリエイト広告を利用しています

【オスカー総括】『英国王…』が横綱相撲 30〜40代監督席巻で世代交代の波?

『英国王のスピーチ』が作品賞をはじめとする4冠に輝き幕を閉じた第83回アカデミー賞。『英国王のスピーチ』と『ソーシャル・ネットワーク』の一騎打ちが注目を集めたが、終わってみれば主要部門での直接対決を制し、『英国王のスピーチ』が賞レース全体で見ても“横綱相撲”を見せた格好。昨年はキャサリン・ビグローが女性として初めて監督賞を受賞したことが話題となったが、今年の受賞者および候補作を眺めてみると、ハリウッドの新たな波が浮かびあがってくる? まずは主要各部門をふり返り!

最新ニュース レポート
注目記事
クリスチャン・ベイル、ナタリー・ポートマン、メリッサ・レオ、コリン・ファース -  Rick Salyer/(C) A.M.P.A.S.
クリスチャン・ベイル、ナタリー・ポートマン、メリッサ・レオ、コリン・ファース - Rick Salyer/(C) A.M.P.A.S.
  • クリスチャン・ベイル、ナタリー・ポートマン、メリッサ・レオ、コリン・ファース -  Rick Salyer/(C) A.M.P.A.S.
  • メリッサ・レオ - Michael Yada / (C) A.M.P.A.S.
  • ナタリー・ポートマン - Michael Yada / (C) A.M.P.A.S.
  • 第83回アカデミー賞作品賞を受賞した『英国王のスピーチ』 - Michael Yada / (C) A.M.P.A.S.
『英国王のスピーチ』が作品賞をはじめとする4冠に輝き幕を閉じた第83回アカデミー賞。『英国王のスピーチ』と『ソーシャル・ネットワーク』の一騎打ちが注目を集めたが、終わってみれば主要部門での直接対決を制し、『英国王のスピーチ』が賞レース全体で見ても“横綱相撲”を見せた格好。昨年はキャサリン・ビグローが女性として初めて監督賞を受賞したことが話題となったが、今年の受賞者および候補作を眺めてみると、ハリウッドの新たな波が浮かびあがってくる? まずは主要各部門をふり返り!

俳優部門では助演男優賞、女優賞をクリスチャン・ベイル&メリッサ・レオの『ザ・ファイター』の2人が獲得。ちなみに2人の実際の年齢差は13歳なのだが、劇中では2人は母と息子という間柄を演じており、見事“母子”受賞を果たした。『フローズン・リバー』で一昨年のオスカーで主演女優賞にノミネートされたメリッサにとっては、50歳にして念願のオスカー受賞。一方、激しい役作りで知られるクリスチャンだが、意外にもオスカーノミネートは今回が初めて。今後、主演男優賞も含め、オスカーの常連となりそうな予感が…。

“鉄板レース”と言われた主演男優賞は、予想通りコリン・ファースに栄冠が。コリン同様2年連続ノミネートの昨年の覇者ジェフ・ブリッジスに3年前の助演男優賞受賞者ハビエル・バルデム、『ソーシャル・ネットワーク』のジェシー・アイゼンバーグに今年の司会も務めたジェームズ・フランコと例年にもれず実力者が顔を揃えたが、今年ばかりは文句なしでコリンが受賞。『英国王のスピーチ』では、コリン演じるジョージ6世と彼を献身的に支える妻(ヘレナ・ボナム=カーター)の姿が印象的だが、役柄そのままに壇上でさらりと愛する妻への感謝を口にするところはさすが!

主演女優賞も大方の予想通り『ブラック・スワン』のナタリー・ポートマンの手に。ゴールデン・グローブ賞でドラマ部門とミュージカル・コメディ部門とで女優賞を分け合った『キッズ・オールライト』のアネット・ベニングを推す声も根強くあったが、終始、賞レースを引っ張ったナタリーが初の戴冠。アネットは三度目の正直ならず。

脚本部門は脚色賞を『ソーシャル・ネットワーク』、オリジナル脚本賞を『英国王のスピーチ』と二強が分け合った。残念だったのは『インセプション』のクリストファー・ノーラン。その緻密な世界観の構築に対し、監督賞として推す声も多かったが候補作に含まれず、オリジナル脚本賞でのノミネートとなった。この処置には一部のファンから怒りの声が上がっていたというが、結局、“最後の砦”であったオリジナル脚本賞でも受賞はならず。とはいえ、『インセプション』は視覚効果賞、音響編集賞、録音賞、そして撮影賞とスタッフ部門を中心に最多タイの4冠獲得は立派のひと言! 改めてこの作品の質の高さを見せつけた。

そして、作品賞および監督賞は『英国王のスピーチ』(トム・フーパー監督)が獲得。直前まで予想が割れたこちらの部門。作品賞に関しては、オスカー会員として投票権を持つプロデューサーや監督が選出する米プロデューサー組合賞や全米監督協会賞を受賞した『英国王のスピーチ』が獲得する流れを重視する声が多かったが、それでも監督賞だけでもデヴィッド・フィンチャー(『ソーシャル・ネットワーク』)が獲るのでは? という予想も多かった。そうなると第78回で作品賞を『クラッシュ』が、監督賞を『ブロークバック・マウンテン』のアン・リーが獲得して以来となる、別々の作品による作品賞と監督賞受賞だったが、ふたを開けてみれば両部門とも『英国王のスピーチ』に。

『ソーシャル・ネットワーク』は先述の脚色賞に加え、編集賞、作曲賞とスタッフ部門では受賞したものの、作品、監督、主演男優という主要部門ではことごとく『英国王のスピーチ』との直接対決で苦杯をなめる結果に。賞レースの序盤を圧倒的な強さで牽引したが、やはり後半失速した感が否めない。「Facebook」の誕生の背景という物語の内容はもちろん、演出の部分でもフィンチャーの切れ味の鋭さが目立った本作だが、アカデミー会員を唸らせる、という意味では正攻法のドラマ『英国王のスピーチ』の後塵を拝した。

ちなみに部門数では『英国王のスピーチ』『インセプション』が最多タイの4部門、続いて『ソーシャル・ネットワーク』が3部門を獲得。『トイ・ストーリー3』『アリス・イン・ワンダーランド』がそれぞれ2部門で受賞している。10部門ノミネートされたコーエン兄弟による西部劇『トゥルー・グリット』は無冠に終わった。

また、今回の監督賞候補者の5組6名のうち、フィンチャーとダーレン・アロノフスキー(『ブラック・スワン』)の2人が40代で、トム・フーパーにいたっては、1972年生まれでいまだ30代! 確実にハリウッドの世代交代は進んでいると言えそう。さて、来年はどんな新星が現れるのか? いやいや、ベテラン勢の逆襲にも期待! すでに今日この瞬間から来年に向けた過酷な賞レースは始まっているのだ。

<第83回アカデミー賞受賞結果一覧>

作品賞:『英国王のスピーチ』
監督賞:トム・フーパー(『英国王のスピーチ』
主演男優賞:コリン・ファース(『英国王のスピーチ』
主演女優賞:ナタリー・ポートマン(『ブラック・スワン』
助演男優賞:クリスチャン・ベイル(『ザ・ファイター』
助演女優賞:メリッサ・レオ(『ザ・ファイター』
オリジナル脚本賞:『英国王のスピーチ』
脚色賞:『ソーシャル・ネットワーク』
長編アニメーション映画賞:『トイ・ストーリー3』
短編アニメーション映画賞:『ザ・ロスト・シング』(原題)
長編ドキュメンタリー映画賞:『インサイド・ジョブ』(原題)
短編ドキュメンタリー映画賞:『ストレンジャーズ・ノー・モア』(原題)
撮影賞:『インセプション』
編集賞:『ソーシャル・ネットワーク』
視覚効果賞:『インセプション』
録音賞:『インセプション』
音響編集賞:『インセプション』
美術賞:『アリス・イン・ワンダーランド』
メイクアップ賞:『ウルフマン』
衣装デザイン賞:『アリス・イン・ワンダーランド』
短編実写映画賞:『ゴッド・オブ・ラヴ』(原題)
作曲賞:『ソーシャル・ネットワーク』
歌曲賞:「僕らはひとつ」(『トイ・ストーリー3』
外国語映画賞:『イン・ア・ベター・ワールド』(原題/デンマーク)

特集 2011アカデミー賞
http://blog.cinemacafe.net/special/110201/index.html

Michael Yada / © A.M.P.A.S.
Rick Salyer / © A.M.P.A.S.
《シネマカフェ編集部》

特集

【注目の記事】[PR]

関連記事

特集

page top